教会の暦では聖霊降臨節第22主日でした。
第1部の(神の言葉の)礼拝では新約聖書・使徒言行録27章39~44節を読み、牧師から「沈みゆく船から」というタイトルでお話をしました(でも、パウロの乗った船が沈んだという記述はありません。早合点でした。再び出港するときは別の船に乗っているので、沈んだのかも知れませんが)。
(以下、牧師のお話の要旨)
「沈みゆく船から」
パウロを生かす百人隊長
パウロという人が、捕まえられてローマという町へ運ばれています。ところが、パウロの乗った船は、クレタという島を出発してから、嵐のために沖に流されてしまいました。それから二週間経った日の夜中、夜が明けてもう朝になろうとするころに、パウロは船の中でみんなに言いました。「もう二週間も皆さんは何にも食べてません。だから、どうぞ何か食べてください」。そう言ってパウロは、みんなの前でパンを裂いて食べます。すると船に乗っていたみんなも、元気を出して、みんなで一緒に食事をしました。それから朝になって、船はどこかの浜辺に近づきました。そこで、船員さんたちは、船をなんとか操って、浜辺の近くまで行って、船を止めました。船は波で壊れてしまいましたけれども、船に乗っていたみんなは、船から降りて、泳いだり、おぼれないように何かにつかまったり、船員さんたちに助けてもらったりしながら、どうにかこうにか、浜までたどり着きました。誰も死ぬことなく、みんなが助かったのです。
この船には、パウロのように捕まえられてローマに運ばれている囚人たちが、パウロの他にもいました。でも海に飛び込んだら、囚人たちは逃げ出してしまうかも知れません。だからローマの兵隊さんたちは逃げ出す前に囚人たちを殺そうとしました。でも、ユリウスという兵隊の隊長さんは兵隊さんたちをなだめました。兵隊さんたちが囚人を殺そうとするのを止めさせたんです。それで結局みんなが助かったんですね。
どうしてローマの兵隊の隊長さんは囚人たちを殺さなかったんでしょう。囚人たちが逃げ出したら、隊長さんは大変なことになります。たぶん、隊長さんよりも偉い人にひどく怒られて、罰を受けることになってしまうでしょう。それぐらいなら、パウロも他の囚人たちも船の中で殺してしまった方がよかったかも知れません。でも隊長さんはそうしませんでした。どうしてでしょう。
それは、その直前に、この船に乗っていたみんなで一緒に食事をしたからだと僕は思います。この船には隊長のユリウスやパウロのほかに、何人かのローマの兵隊さん、それから船員さん、パウロのような囚人が何人か、そして、アリスタルコやルカなどパウロの友達も乗っていました。でも、それまではみんなで一緒に食事をしたことは一度もなかったと思います。兵隊さんは兵隊さんだけ、船員さんは船員さん同士で、食事をしていたんじゃないでしょうか。少なくとも、パウロのような囚人が兵隊さんや船員さんと一緒にご飯を食べることはなかったはずです。でも、船が流されて二週間ほど経った日の夜明けごろ、この船に乗った人たちは、初めてみんなで一緒に食事をしたんです。
食卓の力
食卓というものには不思議な力があります。一人で食べる食事じゃなくて、誰かと一緒に食べる食卓。同じものを一緒に食べて、それを味わいながら、何かを飲みながら、お話をしながら、笑いながら、歌いながら、怒りながら、誰か相手と一緒に囲む食卓は、とても深い信頼関係を生み出すことがあります。この人と一緒に食事をしていると楽しいなぁと思える相手とは仲良くなれますが、一緒に食事をしていて楽しくない相手とは仲良くなるのがたいへんです。
食事を作った人は、作った食事の味が気になるでしょう。一緒に食べている相手が、おいしいと思っているのかどうか、とても気になります。「おいしい」って言ってもらえたら、天にも昇る気持ちになりますが、「まずい」とか「きらい」とか言われるとガックリ来て腹も立ってきます。でも「おいしい」って言ってもらえると、また作ろうという気持ちになります。「まずい」って言われても、その相手が大事な相手なら、次こそは「おいしい」って言わせてみせるぞって思うのかも知れません。
テレビを見ながら、ゲームをしながら、スマホをさわりながら、一人で済ませる食事も悪くはありません。いつもいつも誰かと一緒に食べるのも、しんどいことがあります。でも一人で済ませる食事ばっかりでは、誰かとの間に信頼を生み出すのは難しいでしょう。不思議なことに、一人で食べていると、どうも食べ過ぎてしまったり、そもそも食べなかったり、食べてもあんまりおいしくなかったりします。少なくとも、「うわー、これめっちゃうまい」ってことはほとんどないと思います。だから、たまには誰かと向かい合いながら、一緒に飲んで、食べて、歌うのもいいと思います。
難破船の中での、みんなとの食事が、パウロを生かしました。船の全員を生き延びさせました。今日の食卓礼拝が、この教会を出てから、それぞれが生きて行く力を生み出すものになるように、祈りたいと思います。
(以上、牧師のお話の要旨)
第2部の「主の食卓礼拝」では、メンバーのOさんがチキンのロールパンサンド?とクラムチャウダーを用意してくださいました。鶏の胸肉を柔らかく茹でたもののスライスをパンに挟んでいただきます。ごちそうさまでした(写真撮るのを忘れました。すみません)。
礼拝後は、クリスマスに歌う讃美歌の練習、そして会堂清掃、定例役員を行いました。ご協力感謝します。
次週は、降誕前第9主日の礼拝です。もうじきクリスマスなんですねぇ。礼拝後には「ほっとコーヒータイム」。「児童労働」の問題についてのお話をうかがう予定です。どなたでもぜひご参加ください。