2015年2月1日主日礼拝報告

教会の暦では降誕節第6主日でした。

第1部子供の礼拝では旧約聖書・創世記40章1~5節を読んで、牧師から「ゆめのいみ」というタイトルでお話をしました。ヨセフは給仕長と料理長の夢を解き明かしました。夢には神のメッセージが込められているんでしょうか。そういうこともあるかも知れませんね。

第2部の礼拝では、新約聖書・使徒言行録22章30節~23章5節を読んで、牧師から「あなたの道を行け」というタイトルでお話をしました。

(以下、牧師のお話の要約)

「あなたの道を行け」

今日の聖書箇所は笑い話だと思います。どこが笑えるのかというと最後の23章5節の前半です。「兄弟たち、その人が大祭司だとは知りませんでした」とパウロは言っているんですがこれは嘘です。23章3節をみると「あなたは、律法に従ってわたしを裁くためにそこに座っていながら、律法に背いて、わたしを打て、と命令するのですか」とパウロは言っています。これは大祭司の席が決まっていたということなのではないでしょうか。そうだとしたらパウロはそこに座っていた相手が大祭司だと分かっていたはずです。そうでなくても大祭司には特別な衣装があります。熱心なユダヤ人(教徒)だったパウロが大祭司が誰か知らないはずがありません。つまりパウロはここでボケているのです。

それから23章5節の後半もなかなか強烈です。「確かに『あなたの民の指導者を悪く言うな』と書かれています」とパウロは言っています。大祭司を悪く言うようなことが律法で禁じられていることをパウロはちゃんと知っているわけです。つまり良くないことと知っていてわざとボケているのです。パウロは大祭司を馬鹿にするだけではなくて律法を軽んじるようなこともしているわけです。パウロは確信犯的に嘘を言って、大祭司やエルサレムの民衆を皮肉っているということになると思います。

ただこれが本当にあった出来事なのかというとそれは疑問です。今パウロはエルサレムの民衆やユダヤ教の議会の怒りを買って裁かれようとしているわけですから、パウロの皮肉が皮肉として受け取られるとは思えません。火に油を注ぐようなものです。ですから今日の聖書箇所の顛末はおそらく著者ルカの仕掛けた笑い話なのだと思います。「へ~、あの人大祭司だったんだ。知らんかったわ。確かにねぇ律法には『指導者を悪く言うな』って書いてあるけど、あの人がねぇ、知らんかったわ」とパウロに言わせて読者から笑いを取るためのルカのユーモアだと思います。

ではなぜルカはここで笑いを取ろうとするのでしょうか。はっきりとは分かりません。でもパウロはここである意味極限状態に置かれています。エルサレムのキリスト者から反感を買い、さらにユダヤ教徒・ユダヤ人たちを怒らせて殺されそうになっています。一応ローマ帝国の兵士に守られてはいますが決して自由の身ではありません。もうどうにもならない、にっちもさっちも行かない状況になっているんです。もう笑うしかないんです。パウロという人は著者ルカにとって尊敬すべき人物です。ユダヤ以外の地で熱心にキリスト教を広めた人物です。でもそんなパウロにもどうすることもできない状況があって、そこではもうただ笑うしかないでしょうということです。ガチガチの信仰を持っていてパウロを絶対視して崇拝する人にとっては、使徒パウロという人は雲の上の人ということになってしまうんでしょうけれども、パウロも嘘をついてボケをかますのだということになれば、とたんに一人の人間パウロがこちらに近づいてくるんじゃないでしょうか。

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ヴィクトール・フランクル(Wikipediaより)

ユダヤ人収容所での自身の体験から『夜と霧』という本を書いたフランクルという精神科医がその本の中でこう言っています。「ユーモアも自分を見失わないための魂の武器だ。ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ」。ユーモアや笑いというのは難しいところがあります。いつもゲラゲラ笑っていればいいとも思いません。ユーモアと受け取られずに相手を激怒させることもあります。でもフランクルの言うようにそれは「魂の武器」なのかも知れません。もうどうすることもできない、にっちもさっちも行かない、でもそんな時でも、わたしたちには笑いが残されています。「知らんかったわ」って言うのもありなんだと思います。打ちひしがれ続ける必要はありません。「魂の武器」を忘れることなかれ。

(以上、牧師のお話の要約)

次週2月8日は教会の暦では降誕節第7主日です。聖書箇所は旧約聖書・ヨブ記26章5~14節、牧師からのお話のタイトルは「取るに足りないちっぽけな神」です。礼拝中出入り自由です。どなたでもぜひご参加ください。礼拝後は特に予定はありません。

報告:山田有信(牧師)

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