2014年5月4日主日礼拝報告

教会の暦では復活節第3主日でした。

Mさんが献げてくださったお花

Mさんが献げてくださったお花

第1部、子供の礼拝の中では、旧約聖書・創世記19章12節を読んで、牧師から「ソドムとゴモラ その1」というタイトルでお話をしました。物語によれば、ソドムという町には乱暴な人々がいるようです。町で苦しむ人の叫びと聞きながら、神は苦しむ人もろとも町を滅ぼすのでしょうか。神よどうか、小さい、弱い、苦しむ者ひとりひとりに目を留めてください。

第2部の礼拝では、新約聖書・使徒言行録18章1~11節を読んで、牧師から「わたしがあなたと共にいる」というタイトルでお話をしました。

(以下、牧師のお話の要約)

echo エコー

echo エコー

僕の学生時代のことです。学生食堂にたむろって喫煙していた僕らのところに、同級生の一人U君が来て言いました。「あーたたち(あなたたち)、また煙草を吸って、それでもクリスチャンなんですか」「どうせ、イチョウとかエチョウとか、そんなの吸ってるんでしょう!」。「イチョウとかエチョウ」?なぞの言葉です。どうやら煙草の事らしいのですが、いくら頭を捻っても僕には全く分かりませんでした。

でも、その煙草のパッケージの特徴を聞いて、「エチョウ」の謎は解けました。それはECHO(エコー)のことでした。ローマ字読みすれば確かに「エチョウ」。僕らは大笑いしました。でもまだ「イチョウ」の謎が。

わかば

わかば

「イチョウ」はどうやら緑色のパッケージらしい。それで僕はピンと来ました。「わかば」という銘柄のたばこです。おそらく彼の頭の中では、「わかば」→葉っぱ→ECHO(ローマ字読みで「エチョウ」)に引っ張られて→「イチョウ」と変化していったのでしょう。僕らはもう一度大笑い。

伝わらないこと、通じないことが、豊かな何かをもたらします。U君の通じない言葉が、それを聴く側の力を引き出して、大きな笑いを生み出しました。

西川勝さんという臨床哲学者が、著書の中でこう言っています。「伝わらないことのおもしろさとは、伝わらないという事態に直面した自分と相手とが、そこでいったん、そのままではいさせてもらえない状況に放り込まれることにあります」(『となりの認知症』130頁)。「『もうわかった』というのはコミュニケーションの終わりですし、探索の終結です。そうではなく、新たなスタートを迎える、その始発点のおもしろさとでもいうのでしょうか。何かに惹かれて、誘われて、そしてものすごい勢いでもってそれに向かっていこうとしている生命力を感じること、そこに『伝わらない』ことの中で何かを生み出す可能性があるのではないか、そんな気がします」(同書、131頁)。

通じないことは怖いことです。しんどいことです。それは確かなことです。また、伝わらないことは良くないことだとされています。でも本当にそうでしょうか。

使徒パウロはコリントという町で宣教活動を続けています。ここに来るまでのパウロの宣教活動はあまり芳しいものではありませんでした。ほとんどの町でパウロは危険な目に遭っています。パウロの言葉が多くの人に通じないのです。その苦しみの中でパウロは、幻の中のイエスの声を聞きます。「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる。だから、あなたを襲って危害を加える者はない。この町には、わたしの民が大勢いるからだ」(9~10節)。現実のコリントは、おそらくそうではなかったでしょう。でもパウロは信じたのだと思います。伝わらない、通じない、受け入れられないことの中に、イエスが共にいてくれて、そこに豊かな何かがもたらされると。

通じない、伝わらないのはしんどいことです。でも、しんどいからこそ、どうして通じないのか、伝わらないのかをじっくり考えて、言葉を紡ぎ出して、想いを尽くして、語ろうとする。そしてそこに通じないこと、伝わらないことを越えて、何か豊かなものが生まれることがあると思います。もちろん、誰にも限界はあります。誤解が悲惨な出来事を招くこともあります。でもそれでも、僕は信じたいと思います。その通じない、伝わらない、人と人との間に、あらゆる垣根を越えようとしたイエスは共にあるんだと思うんです。通じない、伝わらないことの中に、わたしたちも、使徒パウロが聞いたイエスの言葉を聴くことができるんじゃないでしょうか。「恐れるな。語り続けよ」。

(以上、お話の要約)

次週は復活節第4主日です。聖書箇所は旧約聖書・ヨブ記19章13~19節、牧師からのお話のタイトルは「嫌われてひとり」。

報告:山田有信(牧師)

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