2017年12月17日主日礼拝報告

教会の暦ではアドベント第3主日でした。

淡路教会の主日礼拝は毎週子どもたちとの合同礼拝です。第1部のこどもの礼拝では新約聖書・ルカによる福音書2章15~20節(新共同訳新約聖書・103ページ)を読み、Oさんが「絵本の中のクリスマス」というタイトルでお話してくださいました。

第2部の礼拝では、新約聖書・マルコによる福音書10章46~52節(新共同訳新約聖書・83ページ)を読み、牧師から「目は何を見る」というタイトルでお話をしました。

(以下、牧師の話の要旨)

「目は何を見る」

Amazonより

エリコの盲人バルティマイの目の癒しの物語には、目が見えないということがどういうことなのかについて、いくつかの問題が隠されていると思う。

まず、この物語はやはり「晴眼者」の思い込みから書かれている。見えない目は、見えるようになることが良いことだという前提がある。しかし、急激に視力が失われた場合は別として、長期間見えない状態が続いた目が、もし急に見えるようになったとしたら、実際には様々な問題が出て来る。想像するに、これまで自分が使っていた言語とはまったく異なる未知の言語の世界に人が突然投げ込まれるようなことではないだろうか。おそらく、入って来る情報を処理できないという状況になると思われる。また、視覚障害の世界は、晴眼者が思い込みがちな暗黒の世界などでは決してないようだ(参考・伊藤亜紗著『目の見えない人は世界をどう見ているのか』)。目は見えるほうがよいに決まっているという前提にはやはり問題がある。

そして、翻訳の段階にも同様の視点が入り込んでいるように思う。50節を見ると、「盲人は…躍り上がってイエスのところに来た」とある。おそらく、バルティマイが喜んでイエスのもとにやって来たという意味合いを込めて訳しているのだろう。確かに、バルティマイは喜んだのかもしれない。けれども、そうとばかりも言えないのではないかと思う。突然のお呼びに驚いて跳び上がっただけということなのかもしれない。「躍り上がって」という翻訳には、見えない目が見えるようになるのだから、喜んでいるに違いないという思い込みがやはり影響しているのではないだろうか。

しかし、もっとも大きな問題は、この物語が晴眼者の視点で書かれ、また翻訳されていることに、おそらく多くの人がなかなか気づくことができないということではないだろうか。私自身も(先述の、伊藤亜紗著『目の見えない…』によって)視覚障害者の世界を垣間見せられることがなければ、この物語を、イエスという偉大な癒し人が、その力によってバルティマイの目を癒したという物語としてしか受け取ることはできなかっただろう。

この物語は、癒しの力を持ったキリストが哀れな盲人の目を癒すという出来事を語るものではない。バルティマイは叫び続けた。人々は彼を黙らせようとした。実際にも比喩的にも彼はやかましかったということではないだろうか。そしてイエス自身もそう感じているということのように思われる。イエスは決して自分からバルティマイに近づいてはいない。もしかしたら、聴こえないふりをして通り過ぎようとさえしていたということなのではないだろうか。もし偉大な治癒者を語る物語なのであれば、呼ばれもしないのに、バルティマイの存在に気付いたイエスが、自ら近づいて行って、その目を癒すというストーリになるように思う。しかしこの物語にはそのような脚色はない。ここにはイエスとバルティマイとの間に実際に起こった出来事と、素のイエスの姿が示されているのではないだろうか。

イエスは立ち止まった。そしてバルティマイにこう尋ねている。「何をして欲しいのか」。ここには見えない目を見えるようにしてあげようという視点はない。ここにあるのは「揺れ動く関係」(伊藤亜紗)と言ってよいのではないかと思う。イエスには、盲人=気の毒な人というような「特別視」はない。かといって、視覚障害の人は視覚障害の人として素晴らしいというような変に「対等な関係」でもない。きっとイエスは、「うるさくてかなわん」と思いながらも、バルティマイと普通に言葉を交わして、相手の想いをまずは確かめたのだと思う。

晴眼者の思い込みのようなものを取り去ることによって、この物語からは、人と人が互いに影響を及ぼし合って、互いに支え合って生きて行くことを素朴に実行した、素のイエスの姿が立ち上がって来る。

(以上、牧師の話の要旨)

礼拝後は会堂清掃と定例役員会でした。

次週12月24日(日)はいよいよクリスマス礼拝です。聖餐式を行います。聖書個所は旧約聖書・ルツ記1章14~19節(新共同訳旧約聖書422ページ)です。讃美歌は、『改訂版こどもさんびか』から73、69、72、75番です。どなたでもぜひご参加ください。

礼拝後はクリスマスを祝い、喜びを分かち合う、愛餐会です。会費無料です。どなたでもぜひご参加ください。

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